Labについて——完成の手前を、公開するという試み
絵は、完成した瞬間だけを見せるものだと、長く思ってきた。
けれど一枚の絵が生まれるまでには、人に見せることのない時間が横たわっている。
モチーフと出会い、立ち止まり、素材を試し、失敗し、削り、また重ねる。
完成作だけを見れば静かに見える絵も、その手前では、ずっと動き続けている。
このLabは、その「完成の手前」を残していく場所である。
■ 六つの工程
制作の流れを、ここでは六つの段階に分けている。
06 起点——モチーフと出会う。まだ誰にも見せない、私的な始まり。
05 構想——画面の中で何が起きるべきかを、言葉と素描で探る。
04 素材——アクリル、樹脂、その他の技法。物質と対話する時間。
03 制作——重ねる。乾かす。待つ。判断する。その繰り返し。
02 調整——光の下で確かめ、最後の数ミリを決める。
01 作品としての仕上げ——署名を入れ、一点の絵として世に出す。
数字が小さくなるほど、絵は公の顔に近づいていく。
Labのページで上から下へ辿った線を、記事では一つずつ、内側から書いていくつもりだ。
■ なぜ見せるのか
理由は一つしかない。
絵の価値は、完成した表面だけでなく、そこに固められた時間にあると考えているからだ。
樹脂は、流れた瞬間の動きをそのまま閉じ込めて固まる。
私の絵に同じものが二枚とないのは、同じ時間が二度と流れないからである。
その時間の一部を、ここに記録していく。
完成作と出会ったとき、この記録が、絵の奥行きを少しだけ深くしてくれるはずだ。
記事は、制作の進行に合わせて不定期に更新する。
急がず、しかし止めずに続けていく。

